演劇カルトのせいで4回死にかけた話。 #女の子は死なない

複雑性PTSDについて調べているとき、脱カルト会報の論文に行き着きました。ハラスメントとして告発される内容の中身は、明らかに境界(バウンダリー)の侵犯である、といいます。そしてカルトは境界を意図的に破壊し、メンバーの自尊心を打ち砕く。カルトからの開放とは、破壊された「境界」の回復に他ならない、と。

破壊的カルトと演劇集団には親和性がある、ハラスメントが激しい現場にしても、ある程度まともとされる現場だとしても、ある程度の共通項があることに気付いていきました。

 破壊的カルトのマインド・コントロールを受けたメンバーは、一般に以下のような特徴を持って生活することが多いといえる(江川, 1995; 郷路, 1993; Hassan, 1988; 西田, l995,etc.)。
彼らは共同生活をすることも多く 、一人になって何かについて自分で熟慮する時間は少ない。また彼らは切迫感と無力感とをセットにしながら恐怖感を煽られ、常に焦燥感や不安の入り混じった緊張状態におかれる。
メンバーはこのような緊張状態の中で、睡眠時間も極端に少なく、ほとんど休みの日もなく、彼らは起床から就寝までスケジュールが詰まっており、過激な重労働 (新メンバーの獲得、資金調達、自己修練) に従事している。
また経済的に管理され、さらには服装、異性感情、対人関係ならびに家族形態や結婚生活をも含む私生活のほとんど全てが制限・管理されているケースもある。(中略)
そしてこのような行動の全てに対して、地位や褒賞などの賞と、侮蔑、体罰、降格、追放などの罰の強化子が与えられる。
以上のような生活によって、破壊的カルトのメンバーは、自己決定権を放棄して、集団のリーダーに対して全面的に依存・服従するように求められるのである。
西田公昭,黒田文月,破壊的カルト脱会後の心理的問題についての検討 : 脱会後の経過期間およびカウンセリングの効果,2003

  • 俳優は長時間の拘束により、演劇にコミットメントすればするほど社会とのつながりは薄くなる。
  • 合宿やアトリエで共同生活を送るものもいる。
  • 金銭的にも苦しいので、実家が豊かでない限りアルバイトと二足のわらじで寝不足のものも多い。
  • 稽古以外は集客のための宣伝活動、アルバイト、ワークショップを受けるなどして休むまもなく自己修練をする。
  • しばしば演出家にプレッシャーをかけられ、強迫観念を植え付けられる。
  • 若年の俳優は特に、交際関係を表に出すことは集客に影響することになり、関係を他人に相談しづらくなる。
  • 時に無理やり感情を揺さぶられ、トラウマを告白させられたりもする。
  • 髪を切る、染めることも演出家や事務所にお伺いを立てる。容姿体型の変化にも口出しされたり、無茶な体重の増減を指示されることもある。
  • SNSの発信内容についても制限される。直接的にされなくとも、集客に響くようなことを書いてはならないという暗黙の了解がある。
  • 演出家の課題(それがどれほど無茶苦茶なものでも)を乗り越えた俳優は讃えられ、乗り越えられない俳優は落伍者のように扱い、徹底的に自尊心を打ち砕く。

思いつくままに挙げても、山程共通項があります。ブラック企業/部活なんかでも似たような面はあるかも。演劇人にはブラック部活でシゴキに耐えてきてしまった人や、ブラック企業に就職していく人が多く見られる気がするのですが、そのあたり親和性が高いからなのかもしれません……。

改めて、脱カルト協会のサイトにある集団健康度チェックで、わたしが最も囚われた演出家のもとに居た時の環境を測定しましょう。組織に否定的な感情がある場合、それぞれの項目で所定の点数を引いていく、とあるので、きっちり引き算します。

1.入脱会の自由に対する侵害1~15 の合計得点16(-5)
2.信教・思想の自由に対する侵害16~25 の合計得点19(-3)
3.通信・居住の自由に対する侵害26~32 の合計得点2(-3)
4.性・子供の権利に対する侵害33~42 の合計得点7(-3)
5.健康・文化的生活の権利に対する侵害43~ 60 の合計得点25(-6)
6.民主教育に対する侵害61~ 69 の合計得点7(-3)
7.組織の民主制に対する侵害70~ 87 の合計得点39(-6)
8.プライバシーに対する侵害88~93 の合計得点13(-6)
9.その他の人権に対する侵害94~114 の合計得点30(-7)
総合健康度全項目の合計115

総合計
ふつう:50点以下
やや不健康:51点~79点
不健康:80点~109点
非常に不健康:110点以上
「やや不健康」であれば組織の中で話し合って改善していったほうがいいかもしれません。
「不健康」か「非常に不健康」であれば、話し合うことよりもまず、距離を置いたほうがよいでしょう。

集団健康度チェック

おい! やっぱりカルトやないか!!

私は脱会を心に決めました。こんな業界のままで売れようという気持ちなんて全く持てない。もう好き放題しよう。そう思い、長くお世話になり、休業中も見守ってくれていた事務所の方々に影響が出ないよう、独立し、演劇におけるあらゆるハラスメントについての撲滅宣言の呼びかけ人に加わりました。

なんでわたしが死ななきゃならんのだ

脱会を決めたとはいえ、その後遺症にいまも心を蝕まれています。わたしの人生はなんだったんだろう。最初に本気で死を考えた時から、時間が止まってしまったような、もう死んでいるような、死んだまま生きているような気がします。4度。踏みとどまりはしたけれど、わたしはもう既に、彼らに殺されている。

治療を頑張ったところで、加害者はメディアと関わり、表舞台に居る。街中にトリガーがうようよして、いつフラッシュバックに遭遇するかわからない生活です。傷つけられた側が必死に通院とカウンセリングに時間とお金を費やすだけで、ストレス源は永遠に消えないままです。

公的な窓口にも、すべて相談しました。関係者で力になってくれそうなところにも。それでも毎回絶望させられています。
加害者によって一方的に抱えさせられた秘密を、ひとつひとつ解決のために打ち明けるたび、信じてもらえなかったり、矮小化されたり、責められたり、拒絶されたり、さらなる暴力を振るわれたり、その場で同情してみせたあとで加害者に同調されたり、何度も、その度に少しずつ、脳が壊れていくような気がします。

致死量の理不尽にまみれ、必死に希死念慮と戦っています。でもなんでわたしが死ななきゃならんのだ、と、姉妹たちと分かち合い、乗り越えようとしています。この1年ほどでわかったことは、わたしが死んで去ったところで、彼らは反省するのではなく、過去をいいように語るか、忘れ、また誰かを虐待するだけだということです。

弁護士費用がなくても法テラスがある、と簡単にアドバイスする方もいますが、手続きの煩雑さだけでなく、勝訴の見込みの有無が要件であったり、弁護士側にいく報酬も格安になることから、抱えている問題の数や性質上、何もかも法テラスで解決なんて魔法は使えません。

暴力が起きる背景にそもそもジェンダー/年齢差と権力勾配があり、こちらは心的外傷に健康を蝕まれ、明らかに相手方よりも資力がない状態で、納得いく解決を求めることは、とてもとても困難です。

が、諦めていません。

女の子は死なない、わたしも絶対死んでやるもんか

今回出演のギャランティのうち、千尋の扱いで購入いただくサタンチケット(特典付き俳優応援チケット)、配信公演チケット、個人特典グッズからの利益を弁護士費用(証拠資料等取得等含む)に充てます。(アーカイブ有り配信公演や、公式サイトからのグッズ購入も可能なので、スケジュールが合わないという方も、二重の応援をいただけるととてもとてもありがたく思います。)

【舞台】9/30(金)〜10/2(日)『女の子は死なない』出演について

公演公式HP

TremendousCircus公式HP

トレメンドスサーカスは、ゴシック&ロリータを着て、爆音のダークミュージックと共に、フェミニズム、児童虐待などを題材に、耽…

稽古は、感染対策のため読み稽古はリモート、立ちもしばらく抜き稽古になりますが、とても安全に進めています。稽古の中にジェンダースタディーズ、ハラスメント講習も入っており、その場にいる全員が、安全であるように心を配り合っています。

これまでにない、ギャル大告発演劇になります。長い間男たちに支配されていた演劇を、女の子たちで取り返します。

どうぞ、よろしくお願いします。

千尋

公演詳細

https://twitter.com/kosoryodan/status/1572495506605211648?s=46&t=dv-UA9TUPP4YMZ7cdeNh3Ahttps://twitter.com/kosor[…]

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